日本人と鍋料理

私たち日本人の生活にとって切っても切り離せない鍋料理。とても身近で、それでいてちょっぴり特別で、おいしくて、優しくて。心も体もポカポカに温まる、本当に魅力的な献立のひとつが鍋料理なのです。四季折々の風土を持つ日本ならではの、旬な食材をふんだんに取り入れられる。

そんな鍋ものですが、こだわりの食材をそろえて皆で鍋を囲んだのだけれど、何かこうしっくりこなかったりした経験はありませんか? 下ごしらえ? だしのあんばい? 料亭はともかく、鍋の専門店で味わった記憶とはどうも違う結果に、思わず首をかしげたことのある人も多いのではないでしょうか? 鍋は、日本人の食のふるさと的な存在。大勢でつつきあって楽しむというスタイルも、地方ごとに郷土色豊かなバリエーションがあるところも、素材・味つけともに、和食の醍醐味が詰まっているところも・・そんな鍋の知られざるルーツとはいかに?

遡ること、江戸時代中期・・そのころの江戸は人工100万人の過密都市として文化が開花しました。そのころの日本人は、もともと「膳」で食事をするのが一般的とされてきましたが、武家や商人たちの華やかさの陰に、庶民たちの多くはもっぱら長屋住まいが当たり前。ごく狭い長屋では広い炊事場などもなく、七輪に鍋をかけて簡単な汁物や煮物を作って住民たちが所狭しと肩を並べて食事をしていたのが発端なのだそうです。 とはいえ、江戸時代は、今のように鍋のスタイルがそれほど定着していたわけではありません。 それから幕末〜明治初期には「文明開化」の名の下、それまで口にすることを禁止されていた肉食が盛んになり、牛鍋やすき焼きが人気を博し、今日の鍋料理の礎として定着したのです。しかしながら、およそ1万年前、世界最古の縄文時代の土器の底には、黒く焦げた跡が残っています。つまり、私たちの祖先は縄文時代に鍋に汁を入れて具材と一緒に調理する煮炊きをしていたと考えられています。 ということは、鍋と日本人のつきあいは1万年以上!まさに日本のソウルフードでもあるのです。

アツアツの鍋料理で・・風邪を治そう!!

温かい鍋料理は寒い冬を乗り切る最強の料理方法。 鍋料理の特徴は、何と言っても「からだを温める」ということです。わたしたちにとって温かい鍋料理は、からだにもそしてココロにもとても重要な食べものなのです。 お鍋の「だし」には、ビタミン・ミネラルが豊富に溶け出しているので、野菜は煮込むことによって食物繊維が柔らかくなります。それゆえ、生で食べるよりも栄養を多く摂ることができます。さらにお肉などのタンパク源も味わえる鍋料理は、まさに「栄養の宝庫」なのです。 また、野菜に含まれるペクチンは、胃の調子を整えるはたらきがあるので、整腸薬を一緒に飲んでいるのも同然のこと。ちなみに「医食同源」の発祥といえる台湾では、日本よりも気温、湿度ともに高いのですが、食後のデザートでさえも温かく召し上がるのだそうです。あまり冷たい食べものは口にしない徹底ぶり。東洋の考え方は、内側からからだを冷やさない・・つまり「温める」そのものが、からだに良い「医」の効果があるということなのです。

あなたはどっち? 関東連合 Vs 関西連合 激アツ!スキヤキ戦争

まさに国民的な鍋料理としてナンバー1の人気を誇るスキヤキ。 明治の文明開化とともに、関東では「牛鍋」が広まる一方、関西では焼肉をたれに漬けて食べるのが流行したそうです。この新しい食べ方が「すきやき」に進化したと伝えられているようです。 1961年、世界的な大ヒット曲を歌った坂本九さんの「上を向いて歩こう」も、 海外では「SUKIYAKI」としてリリースされ、ビルボードチャートで第一位に輝いたことは、あまりにも有名な話です。ということは、スキヤキは日本人のみではなく、ワールド・スタンダードな鍋料理ということでもあります。 そのスキヤキについて、関東説が「正統派」、いや関西説の方が「元祖」と これまでにも様々な論争が起こっています。 関東風は、鍋にたれ(割り下)を注ぎ、牛肉と野菜を煮込んでから食べます。 一方、関西風は、まず鍋で牛肉を焼いてから、たれと野菜を加えて煮込みます。 おおざっぱに言えば決定的な違いは・・・牛肉を、まず「煮込む」のか?それとも「焼く」のか?の違いです。  どちらにしても、口の中に入れたらアツアツで美味しく戴けます。

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